冷麺やジャージャー麺、わんこそばよりも、実は「中華そば」が地元の方には好まれているらしい…

これは岩手県のはなし。
盛岡名物のわんこそばとか盛岡冷麺、ジャージャー麺は、地元の人が普段食べるものではないらしい。

地元の人に人気なのは「中華そば」、
ラーメンではなくて「中華そば」で、実際に岩手には中華そばの店が多い。

1杯500円ほどで、透き通った醤油ベースのスープに、シンプルな具材。
でもその味わいは、非常に滋味深いものだという。

思えばこのお店に出会えたのも、花巻の中華そばのお店「竹駒」に振られたのがきっかけ。

『中華そば 竹駒』
1954年創業で、現在もカマドに薪をくべた火で調理するお店。
店主はおばあちゃんで、ひとりでお店を切り盛りしている。
メニューは中華そばと、中華そばの大盛のみ。
営業時間は11:00〜13:00で、売り切れ次第終了で暖簾が下りる。
日曜日は定休日で土曜日も休むことが多く、雨の日風が強い日も臨時休業の可能性大。


実は行った日も、暖簾が出ているのを確認したものの、車を駐車場に止めに行っている間に暖簾を下ろされてしまった。
時計を見ると、11:50。
その時の無念感と脱力感は半端ない…
落ち込んでいても仕方がないので、急いで店を探す。
すると、1枚の美味しそうなカレーの写真が目に飛び込んでくる……

住所を頼りに向かった先は“カレーだ J”。
キッチンカーで営業しているとか、間借りで営業しているとか、情報がいろいろ載っている。
とりあえず、お店がある場所に車を向かわせるのが先だろう。

手作りの看板と営業中の赤い幟が目印。
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キッチンカーと書いてあるが、ちゃんとお店を構えている。
11:30から営業開始なので、すでに営業中。

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車を止めようとしていると、店主らしき方が笑顔でお店の中から出てきてくれる。

「いらっしゃませ! テイクアウトですか、それとも食べていかれますか?」
「中でも食べることが出来ますか?」
「もちろんです! どうぞ、車を止めてお越しください!」

笑顔がすごく素敵な店主。
この瞬間に「来てよかった〜」と、こちらも笑顔になってしまう。

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店内は手作り感満載で、おしゃれな感じ。
奥にはカウンター席も4席ほどあって、店主との会話も盛り上がりそう。

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「甘めのカレーバターキーマと、ココナッツベースの辛口チキン、ダイヤモンドヘッドカレー、そして週替りのカレーがあります。 週替りは…」

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今週のカレーは「梅干しカレー」。
スパイスカレーを食べ慣れている人にとっては、そんなに珍しくないかもしれない。
でも、日本のカレーが日常の人にはちょっと珍しいかもしれない。
折角なので、3種類のカレーがすべて味わえる『カレー3種盛』をお願いすることに。

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店内の一角には、スープとお冷が置いてあって、どちらも飲み放題。
「水もスープも飲み放題なんでどうぞ〜!」
と、店主。
それにしても、ひたすら明るい。

    IMG_3974
カレーには、カラアゲや揚げたこ焼き、餃子、本マグロのカラアゲなどを追加することも出来る。
ドリンクはカレーを注文すると付いてくるので、追加でのオーダーは不要だ。

カレーが出来上がるまでの間、店内を見渡すと「あるもの」を見つける。
そこには、『カレー図鑑』と書いてある。
気になったので手にとって眺めてみる……

   カレー図鑑1
むかし友達のお店でレモンシチューというものを食べたのがこのカレーのはじまりである…

そんな感じではじまり、それぞれのカレーの誕生秘話が書かれている。
更にページをめくっていくと…

  カレー図鑑2
モヒカン料理人あっきーの「豚なんこつのカレー」、海の中を泳いで探検している気持ちになる「濃厚海鮮カレー」。

   カレー図鑑3
沖縄で出会った贅沢な「ヨーグルトチキン煮込みカレー」、
店主カレーだJの師匠に教わった、完成までに3日かかる「ポークDカレー」。

それにしても、店主のJさん、かなり文才がある方だと思われる。
およそ120文字ほどの文章にカレーの魅力、開発秘話などを盛り込み、読むものを見事に「カレーだJ」の世界に引き込んでゆく。

    カレー図鑑4
まさか日本茶をカレーに持ってくるとは思っていなかった「お茶カレー」。
でも開発秘話を読んでいると食べたくなるから不思議だ。
そして、今から食べようとしている「梅干しカレー」。
そうか、店主は梅干しが好きなのか…

    カレー図鑑5
一年に一度だけ登場する「カレーだJの母ちゃんカレー」。
シンプルだけど、これにまさるカレーを作るのは至難の業とされる。
さて、このカレーって1年のうちのいつに出てくるのだろうか?

ちょうど「カレー図鑑」を読み合わった頃にカレーが登場。
店主の想いが込められたカレー、3種盛でいただきます。

3つの個性がお皿の上で旨みの融合。
   DSC06425
甘口、辛口、梅干しの役割はどう出ているのか?
バランス良く賑やかなカレーは、見た目からも食欲をそそられる。

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ひき肉、鶏の軟骨、カリカリ梅の梅干しカレー。
添えてある大葉にカレーを乗っけてごはんと一緒に食べてみる。

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おぉ、これはお見事!
カレーの旨みとスパイスの方向が梅干しの味わいとピッタリベクトルが合っている。
「梅干しカレー」、変化球のような印象を受けるが、旨みのベクトルがきちんと計算されたスパイスカレー。
大阪でスパイスカレーのお店、それもかなり人気のお店にきているような感覚に陥ってしまう。
一瞬、岩手の花巻にいることを忘れていたかもしれない。

辛口チキンのダイヤモンドヘッドカレーは、チキンの旨みが好印象!
ココナッツベースとのことだが、サッパリとした旨みが特徴。

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鮮やかな赤、トマトベースのバターキーマカレー。
口の中に入れた瞬間は甘みが勝っている。
   
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その後、バターとトマトの旨味が広がり、後味のバランスは秀逸。
そのまま食べて美味しいのはもちろん、他のカレーを混ぜ合わせることによって、このカレーの個性がより一層引き立つのも面白い。

「ごはんもおかわり出来ますので、言ってくださいね!」

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折角なので、おかわりを。
前半は、それぞれのカレーの個性を楽しんだので、おかわりを貰ってからの後半は、カレーを混ぜ合わせながら楽しんでみる。
混ぜることによって生まれる味わいもまた楽しい。

食べている間に店内を見てみると、さきほど手にとった『カレー図鑑』が隣のテーブル席にもカウンター席にも、また入り口の横にも置いてある。
しかも、微妙にイラストと文字の大きさが違う…

「もしかして、あの『カレー図鑑』って、コピーではなく一つ一つ手書きなんですか?」
「そうなんですよ、暇なんで全部手書きしました!」


暇なわけはない。
それぞれ想いを込めて書いているのだと思う。
この店主、本当に凄いものを持っているのではないだろうか?

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この日のお客さんの中に、ケーキ職人の方がいらして、おすそ分けをいただいた。
スポンジの部分の柔らかさと食感が生クリームと凄く合っていて美味しい。
このロールケーキ、今後カレーだ Jでも出すかもしれないという。
(もし、メニューにあればぜひ注文してみてください!)

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テイクアウトの他に、「ホームだJ」という名前で、冷凍カレーの販売もしているよう。
自宅で、好きなお酒と合わせていただくのも粋ではないだろうか。

花巻に海の家を!
岩手の中でも海がない街「花巻」に海の家を作りたい。
そう表明し、古い店舗物件を借りて自ら改装し、今もまだまだ進化中。
“カレーだ J”の挑戦はまだまだ続く。

カレー好きはもちろん、美味しいものが好きな人はぜひ一度食べに行ってみてください。
味わいはもちろん、店主の人柄と明るさ、一生懸命さに惹かれます。
是非とも!




【カレーだ J】
住 所:岩手県花巻市高木第10地割30−3    MAP
電 話:070-4332-1243
営業時間:11:30〜15:00
煙 草:禁煙
定休日:火曜日
駐車場:あり

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